佐渡島と能

能の島、佐渡

佐渡島には全国の3分の1にあたる30以上の能舞台が集まっている。 かつては室町時代に能の大成者・世阿弥が流され、江戸期には初代佐渡奉行であり、能楽師出身の大久保長安が奈良から能楽師一行を連れて佐渡に赴任した。この能楽師の末裔たちが土着し、佐渡の庶民のあいだに広く能が根付いたとされている。かつては能舞台が200以上あったといわれ、古い詩に「鶯や十戸の村の能舞台」とうたわれ、十戸余りの小さな集落にも村の鎮守の場として、村人の間で能舞台が親しまれていたようだ。

トキの島、佐渡

国の特別天然記念物であるトキ。1980年代に野生絶滅が確認され、2003年、佐渡で保護飼育されていた、日本固有の最後のトキ「キン」が亡くなった。 1999年に中国から、日本産と全く同一種のトキのつがいが贈呈され、佐渡トキ保護センターによって人工繁殖が行なわれた。佐渡市は2008年からトキの試験放鳥を行ない、野生のトキを復活させるプロジェクトを行なっている。

流人の島、佐渡

佐渡島は古代から流刑の地であり、過去には順徳天皇、日蓮上人、日野資朝、世阿弥などが配流されている。流刑によって、京から流された都人が、都の文化を伝えていったことなどから、貴族文化や武家文化、町人文化が渾然一体となって、佐渡特有の文化を形成していったといわれている。

芸能の島、佐渡

佐渡おけさ…新潟県の民謡で、佐渡島の盆踊り歌。九州のハイヤ節が日本海沿岸を上って佐渡に伝えられ、変化したもの。大正末期以降、全国に広まった。

鬼太鼓…佐渡の鬼太鼓は約500年前佐渡に伝わったものといわれ、能の舞に各地の特色ある洗練された太鼓と独特の振り付けがされ、現在の鬼太鼓の形が完成されたものである。島全体では各地域に120組はあると言われており、地域ごとに特性がある。鬼太鼓は悪魔を払い、商売繁盛、五穀豊穣を祈って神社の祭礼に奉納されるものである。監督である私が両津で見た鬼太鼓は雄鬼と雌鬼がいて、交互に大太鼓を打ち鳴らしながら舞っていた。雄鬼の方が勇壮で雌鬼の方がしなやかな舞だったように記憶している。
他に、花笠おどり、春駒、文弥人形、のろま人形、真野音頭、小獅子舞など、多彩な芸能がこの島にひしめき合っている。


今夏、ポレポレ東中野にてロードショー上映決定

配給:「朱鷺島」上映委員会/後援:佐渡市 佐渡市観光協会/2007年/カラー/Digital/4:3/81分